「フィギュアスケート・グランプリシリーズ第4戦・NHK杯」(12日、国立代々木競技場第1体育館)
アイスダンスのリズムダンス(RD)が行われ、関西大学KFSCの村元哉中(かな、28=16年人間健康卒)、高橋大輔(35=08年文卒)組は70.74点で6位発進となった。カップル結成2季目となった〝かなだい〟は、早くも圧倒的な進化を遂げて観客を熱狂の渦に巻き込んだ。
【写真】2020年全日本選手権の名シーン…RDの演技終了後、氷上で抱き合う村元さんと高橋さん
カップル結成2シーズン目にして初めて出場した、国際スケート連盟(ISU)公認大会で達成した快挙。日本勢では初の、国際大会での70点台という得点を見て、キスアンドクライで〝かなだい〟の2人は力強くうなずき合った。
今回のRDの出来について聞かれると「1つ1つのエレメントに自信を持って滑れたのもすごい良かったし、表現・パフォーマンスといった面でも今日はうまくいったんじゃないかなぁと思ってます。良いスタートを切れました」と、村元さんは振り返る。
高橋さんもまた「第1滑走だったので、思いっきりやれたので良かった。本番は落ち着いて良い距離感で挑むこともできましたし、全体的に通して非常にうまくいったので、すごく自信もついたリズムダンスになったんじゃないかと思います」と晴れやかに答えた。
今シーズンのRDで使用する曲は「Soran Bushi & Koto」。昨シーズンのプログラムで使用した陽気で華やかなThe MASKとは雰囲気が変わり、ゆったりと力強いソーラン節の音頭にのせて舞うという少しユニークなプログラムだ。
曲だけでなく、振り付けや衣装にも和のテイストが散りばめられている。前半の振り付けでは、手の動きなどでソーラン節らしく波や海、魚を表現している。「どっこいしょ」の音頭に合わせてリフトで持ち上げるところについては「ちょうど音に上手くはまった形で、魚を釣り上げてる感じに見えるかなって」と、高橋さんが笑いながら解説してくれた。
衣装は、村元さんが赤で高橋さんが黒の法被(はっぴ)風。よく見ると、高橋さんの髪には赤色のエクステ(付け毛)で差し色が入っている。「この赤は哉中ちゃんのコスチュームの赤とトータルパッケージとして、どこか1つ、何かポイントを入れられればなっていったところでやりました」とのこと。
演技や表現はもちろん、こうした細かい部分にもいくつもこだわりや想いが込められている、まさに芸術性を極めたプログラムだった。
昨シーズンの演技終了後にはリフトやステップに課題が残ると悔しさを見せていたものの、きょうの演技では安定した力強さを見せ、2人の表情や言葉にも自信と充実感が見られた。特に、この1年でトレーニングを通して身体改造に成功したという高橋さんのリフトに、村元さんも「(安定感)あります。すごいあります」と太鼓判を押す。
あす(13日)のフリーで滑るのは、昨年に引き続いてラ・バヤデールのプログラム。曲は同じだが、トランディションやリフトの難易度を上げた、昨シーズンとはまったく違うプログラムになっているという。
「和の雰囲気からガラリと、クラシックバレエのバヤデールの世界をうまく表現できたらなと思ってます」と村元さん。高橋さんも「昨シーズンからちょうど1年で、成長した部分をたくさんの前でお見せすることができればなと思ってます」と、それぞれあすへの意気込みを語っていた。【村岡すみれ】
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