-宮原さんがフィギュアスケートをやっているという意味というか、何を求めてフィギュアを続けてきたのか教えていただけないでしょうか?

宮原「スケート自体は、もっともっと上手になるために、試合でいい結果を出すために今は頑張っているんですが、自分の演技を見てくださる方々に、感動と伝えるということが一番 目指しているところかなと思うので、もちろん結果を出すことは大事だと思うんですけど、自分の演技で感動を伝えられるような演技がしたいと思っています」

-卒論で多くの人に話を聞いて、役に立ったエピソードは。濱田コーチも初の五輪。どういう風に向かっていきたいか

宮原「やっぱり魔物っていうものは、自分で作り出してしまうものだということがたくさんの選手の話を聴いて思ったのですが、自分でも実際に試合をたくさん積んできて、自分を信じるのが一番だと思うので、自分が勝手に作り出す不安とか、そういうものが自分の気持ちを邪魔するものなんじゃないかなと思います」

濱田「ちょっと水を差すかもしれませんが…。知子がいい演技ができるように、最後までサポートしたい。ただ、私は選手ではないので、全日本、すごくいい選手悪い選手、いろんな思いをして家に帰ってきました。次の日、関大のアイスアリーナに教えに行きました。そしたら私の所に一番小さい子が、6歳の女の子が、1回転半ジャンプを初めて跳べるようになって、何べんも何べんも1日中そのジャンプを練習しているんです。で、私は五輪選手を育てるために教え始めたんじゃなくて、そういう子供達が少し毎日日々の練習で 喜びを持つことを生きがいとして今まで35年以上続けてきた。その姿勢は変わることはない。知子のサポートはもちろん、五輪代表としてのサポートは最後まで全力でしますが、私自身は初心に帰って、1回転半ジャンプをチビちゃんが跳べたら喜んで。それを貫きたいと思います。だから、普通の、いつも通りの試合で臨みたいと思います」

-ケガを乗り越えたことで成長した部分、強くなった部分は。濱田コーチは近くで見ていて どういうところが強くなったと思われていますか

宮原「今シーズンはNHK杯が初戦だったのですが、すごく緊張するかなという不安もあった中で、実際に試合をしてみると滑る楽しさということを改めて感じることができたので、そういう気持ちを、怪我で氷に乗れなかった時間の間に、そういう経験がスケートの楽しさをまた思い出させてくれたというところで、まだまだですが、少しだけ強くなったのかなと思います」

濱田「まず声が大きくなった。それと今まで受け身だったんですね。曲を選択するのも、練習時間、練習スケジュール…。素直で誠実にする子だったけど、受け身だったのが自分からいろんな発案をするようになった。例えば、JISS(国立スポーツ科学センター)でリハビリをしている間もメールが来るんです。今年はこの曲で滑ろうと思います。とか、こういうコスチュームはどうでしょうかって、考える時間がきっと、今まで忙しくて、勉強、練習、トレーニング。考える暇なく、毎日のスケジュールをこなしていたのが、ふとリハビリをする間、自分を見つめ 直す時間ができたんだと思って、自分の選んだ曲、気に入ったコスチュームを積極的に提案してくるようになって、もちろんシニアで試合は出ていたんですけれど、そう意味での 大人のスケーターになった。ひと皮むけたんだとつくづく感じました。それと、出られない、キャンセルをした試合が…去年は、世界選手権も出られなかった。呼んでいただいたエキシビションも出られない。そういうのが続いたせいもあって、出たがりになりました。なんでも出たいって、積極的にどれも出たいどれも出たいってという感じで、人前に出て何かしたいということをすごく好きに、積極的にするようになりました」

-五輪出場が決まって自分の中で心境の変化があるか

宮原「オリンピックが決定してから、気持ちはまったく変わっていない。すごく楽しみという気持ちと、あとはオリンピックという舞台が実際にどういう雰囲気で、他の試合とは違って、他競技の選手と同じ生活をすることになったりとか。他の試合にはない経験もできると思う。そういうのがどういうものなのかなあっていう気持ちでいっぱいです」

-濱田先生への感謝の気持ちというか、いまどういう気持ちですか

宮原「昨シーズンケガを経験して、それまでは練習で毎日教えてもらう形だったんですが、リハビリをしている時はもちろん一人でトレーニングをしていたので、そういう中でも自分の体の状態とか、普段の様子までずっと…直接見られているわけではないんですけど、ずっと見ていただいて、常に、ひとりの時でも一緒にいるような、本当に心の支えになったので。ここまで頑張ってこれたのは…先生がいなければ頑張って来れなかったので、すごく感謝だけでは伝えきれない気持ちです」

-四大陸選手権で宮原さんのどういったところに注目すればいいか

織田「四大陸選手権がきっと、五輪への最後の試合になると思うので、宮原選手もそうですし、これから五輪で戦っていく選手たちも宮原選手がどういった演技をするか注目していると思うので、五輪前の試合はいいイメージで臨むことが重要になってくるし、ただ、 宮原選手の全日本選手権での演技、まあグランプリシリーズのアメリカ大会から見ても、かなり調子もどんどん体の状態も上がって来ているので、四大陸選手権も素晴らしい演技で締めくくってくれると思いますし、その勢いで五輪にぜひ臨んでほしいなと思います」

-ここだけは気をつけた方がいいというところは

織田「そうですね…靴ひもだけは、しっかり結んで…気をつけて」

(司会)「織田監督にはハンカチも用意していたんですが、きょうは必要なかったようです」

【宮原さん単独の囲み会見で】

-改めて五輪への思いを聞かせてください

「五輪自体はすごく楽しみで、どんな舞台なのか、どんな生活が待っているのか。すごく楽しみにしていて、ワクワクした気持ちでいっぱいです」

-織田監督からは氷の女神がいるって話がありましたが、改めて考えることはありますか?

「オリンピックに限らず、どの試合でも魔物というものは自分が作り出してしまうものだというのをすごく実感したというか、考えさせられることが今までたくさんあったので、さらにオリンピックってなると…。そういうところでも出場している選手は同じですし、 みんながオリンピックにかけている思いは他の試合よりも強い。やるべきことは変わらないですし、自分のできることをしっかりやりたいと思います」

-五輪に向けてはどういった調整をされていますか

「オリンピックに向けてというよりかは、シーズンが世界選手権まであるので、そこまでにまたケガをしないように、しっかりと走り抜けられるように、全日本の後は一週間ほどゆっくり休養をとって、また少しづつ強度を上げていってます」

-五輪に向けて構成を変えたりするのか

「まったくそういうことは考えていなくて、他の試合と同じなので、いつも通りやっていきたい」

-平昌は朝ですが、時間の調整などは

「やっぱり朝が早いので、朝の練習をした方がいいかなぁと考えたりもしたんですけど、 練習が早くても本番はお昼ぐらいなので、練習に合わせるんじゃなくて、だいたい試合の時間ぐらいに毎日練習をしているので、特に意識して朝練を増やしたり…というのはまだしていないです」

-これから増やしていくということはありますか

「今のところはあんまり考えていないです」

-平昌に持って行きたいものはありますか

「う〜ん…あんまりゲン担ぎみたいな感じで、絶対持っていくというものはないので、考えてないんです」

-食べ物とかは大丈夫そうですか

「日本食を用意してくれるブースとかがあるみたいなので、なるべく食料は揃うから大丈夫だよって言ってくださったので、寒くないように服は持って行きたいです」

-今から買い足したいものは

「ヒートテックは持って行きたいです」

-韓国で競技以外で楽しみなものは

「3回目になるんですけど、ご飯がおいしいと思うので、試合が終わって時間はないと思うんですけど、少しでもお土産とか、そういうもので楽しむことができたらなと思っています」

-改めて意気込みを聞かせてください

「オリンピックでは、周りの注目もすごく他の試合に比べて高いと思うんですけど、とにかく自分らしい滑りをするっていうことと、いつも通りにやるってことに集中して、自分のベストを出したいと思います」

-ショートプログラムのSAYURIなんですけど、改めて五輪でケガを乗り越えてのSAYURI を見せたいとか、そういう思いはありますか

「SAYURIも蝶々夫人もどちらも、強い自身を出すような曲なので、やっぱりこのプログ ラムは滑ってよかったなと思えるように、そして見てくださる方々がこのプログラムは素晴らしいと思っていただけるような、そういう自分のSAYURI、宮原知子のSAYURI、 蝶々夫人になるように頑張りたいです」

-具体的にどういう思いを込めたいなと思っていますか

「オリンピックに出場することを目標に今シーズン頑張って来たので、頑張って来た成果をいっぱいに、強い気持ちで滑りたい」

-四大陸はどんな位置付け?

「試合では自分の今できることをしっかりやるっていうことをして、いい演技をするというのはもちろんなんですけど、四大陸選手権で体に負担をかけすぎないように調整は難し いと思うんですけど、五輪につながるような大会にしたい」

-(四大陸で)メダルを狙っていこうというお気持ちは

「もちろん結果は大事なんですけど、それよりも自分の演技に自信が持てる大会にしたいです」

-信成さんからのアドバイスを聞いて

「技術的な部分と、他にも気をつけないといけないこともあるし、シーズン最後まで気を 抜けないので、楽しむことと自分のベストを尽くすということと、両方きっちり果たしていきたい」

-靴ひもはどうですか 「靴ひもは…切れる前に替えたいと思っています(笑)」

-リハビリの時に他の競技の選手から学ばれたことは

「自分よりも大変なケガをしている選手が、それでも毎日明るくリハビリをしていて、落ち込んでいる暇はないというか、やっぱりどんな時でも前向きにいるってことがすごく大事なんだと思いました」

-五輪で再会する選手もいると思いますが

「特に冬のスポーツだとこれから交流する機会も増えてくると思うので、JISSで仲良くなった選手と、またさらに平昌で新しく友達をつくって、日本チームとして頑張りたいです」

-本田真凛選手とは話をした?

「彼女もオリンピックに行きたかったと思うし、私が言う立場でもない。このオリンピックで人生が終わるわけではないので、頑張ろうねという話をしました」

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