関西大学は、燃料販売のシューワ(本社・大阪府堺市)と大規模災害時の石油燃料輸送に関する基本契約を結んだ。また、災害時における効果的な燃料輸送についての共同研究に係る協定も締結。東日本大震災や熊本地震発生時に、被災地に燃料を届けた同社と社会安全学部を持つ関大がタッグを組む。

シューワは1977年(昭和52)、スーパーとして創業。1988年(昭和63)から灯油の販売を始めた。「♪雪やこんこ…」と童謡の「雪」を流しながら、タンクローリーが住宅地を回って出張販売するサービスでおなじみだ。タンクローリーを約300台所有し、灯油の小売販売高で日本一。災害時の対応・支援にも力を入れている。【写真上・調印式で握手する池内啓三理事長(左)とシューワの矢野秀和社長 写真下・千里山キャンパスに現れたシューワのタンクローリー=昨年10月27日】

約2万5000人が通う関西大学千里山キャンパスは、学生だけでなく災害時に地域住民を受け入れる一時避難所となっている。820トンの水や、8000人を3日間まかなえる非常食を用意。非常用電源も備えているが、発電機の燃料などを備蓄する設備は高槻ミューズキャンパスにしかない。

社会安全学部長の安部誠治教授(65)によると、大規模災害発生後の3日間、関西大学の全キャンパスでガソリンだけでも2300リットル必要。軽油、灯油などを合わせると4000リットルを超える燃料が必要だ。「千里山の安全を考えた時に、発電機があったとしても燃料はどうするかが未解決のままだった。積年の課題が、今回の契約締結で解決し感謝している」と笑顔を見せた。

調印式に出席したシューワの矢野秀和社長(47)は「責任の重大さを感じている。災害時に、当社の命をつなぐサービスが役立てれば。研究も楽しみで、社を挙げて協力させていただきたい」と話した。同社の燃料備蓄基地に関大用の燃料を備蓄。大規模災害時には各キャンパスに届ける。燃料を備蓄するコストはシューワが負担するという。

災害時の効果的な燃料輸送をテーマにした共同研究も進められる。関西大学の池内啓三理事長(74)は「シューワは東日本大震災や熊本地震でも、緊急配送などで類いまれなる活躍をされ、災害復興に尽力された。連携を深めて、防災力を高めたい」と意欲。芝井啓司学長(61)も「共同研究が始まることを大きく期待している。安全・安心を求める社会にとって、大きな成果が生み出されるかもしれない」と研究の進展を望んでいた。

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