関西大学が、学内研究者の軍事研究を禁止する方針を決めたことに、電話で大学に十数件の意見が寄せられたことが分かった。関西大学広報課によると、賛否は半々。大学の方針などについて、電話などで意見が寄せられるのはめずらしいという。【写真・軍事研究禁止の方針を決めた関西大学】

防衛省が大学などの研究に補助金を出す「安全保障技術研究推進制度」に昨年、学内の教員1人が応募したことから、学部長や大学院の研究科長が集まる会議などで議論を続けてきた。関西大学では「人間の尊厳、基本的人権や人類の平和・福祉に反する研究活動に従事しない」との倫理研究基準があり、ルールとして明確にした。

反対意見も出たが、7日までに各学部の教授会なども軍事研究禁止の方針を確認。同日、芝井敬司学長(60)らが出席した記者懇談会で発表された。8日の毎日新聞朝刊(大阪本社版)が1面で記事を掲載したほか、新聞各紙で大きく報じられた。

広報課によると、8日朝から関西大学には「よくやった。英断だ」という激励や「禁止するのは違う」という電話が寄せられた。中には30分間以上、電話で熱く持論を述べる人もいたという。

学長名の文書によると、他大学との共同研究や、国内外の企業・研究機関からの軍事防衛目的の研究費も受け入れないとしている。関西大学広報課では「学長には、研究者を守らないといけないという思いがある。軍事研究禁止の方針は当面の方針で、未来永劫というわけではない。これから長い議論をする必要がある」としている。

安全保障技術研究制度は、軍事用・民生用のどちらにも応用できるデュアルユース研究について、大学や国の研究機関に最大3千万円を3年間支給する制度。科学者の行動規範に軍事研究を行わないことを明記したり、同制度への申請を認めない決定は新潟大や広島大でも行われている。

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