リオデジャネイロ五輪・セーリング(ヨット)女子49ex級に出場する高野芹奈さん(たかの・せな、18=人間健康1)が1日、関西大学千里山キャンパスで行われた入学式に出席した。8月の決戦に向け、授業やレポートをこなしつつ約71日間の世界遠征へ。あふれんばかりのヨット愛で、過酷すぎる五輪への道を乗り切る。

キャンパスに吹く春風を背に受け、高野さんが新たな海に飛び出した。「新しい友達や教授との出会いの中で、新しい考え方を知り、新しい自分を見つけていきたい…って、新しいだらけですね」。言葉の端々に、大学生活へのワクワク感をにじませた。【写真・入学式に出席した高野芹奈さん(撮影・岡田拓也)】

リオへの海路は、順風満帆ではない。18日からイタリア遠征に出発。春学期だけで約71日間、授業に出ながら日本と海外を往復する。和歌山を練習拠点にするが「海外でのレース経験が少ないので、海外で経験を積みたい」と、あえて荒波に挑む。

カツカツの活動資金集めのため、営業活動にも奔走。学業との両立も、並大抵ではない。大海原を進む原動力となるのが、ヨットへの熱い思いだ。

中学3年の秋、同級生の誘いで初めてヨットに。ほおを伝う心地良い風の感触が、今でも忘れられないという。「嫌なことも、ヨットに乗ってスーッと走れば、風で流されて行ってしまう。ヨットへの愛があるから、できるのかな」と、どんな難関も情熱で乗り越える。

3月に母校の関大一高で開かれた激励会には、取材陣が殺到。〝ヨット界のプリンセス〟〝芹奈という名前は、F1レーサーのアイルトン・セナから〟という文字が、新聞紙上に躍った。

「プリンセスという感じじゃないのに…。でも、セーリングのことに興味を持ってくれたらハッピーです」。恥ずかしさよりも、ヨットを世間にアピールできたことが何よりもうれしいと話す。

「自分も中身は一緒の大学生。フレンドリーに接してくれたら」。新入生6880人のトップランナーとなった高野さん。五輪での目標は、20チーム中15位とやや控えめ。だが、ヨットへの愛は誰にも負けない。
【関連記事】関大生リオ五輪1号高野芹奈さんを800人が激励-2016年3月21日

返事を書く