「フィギュアスケート・全日本選手権」(23〜26日、さいたまスーパーアリーナ)
アイスダンスのリズムダンス(RD)が23日行われ、関西大学KFSCの村元哉中(かな、28=16年人間健康卒)、高橋大輔(35=08年文卒)組は63.35点で2位発進に。アイスダンスではたった1枠しかない北京五輪代表をかけた重要な局面だったが、演技前半のステップで転倒するというアクシデントが発生するなど波乱の幕開けとなった。【村岡すみれ】
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高橋さんはシングル時代にも経験しているオリンピックの代表選考会だが、それでも朝から高い緊張感の中で公式練習に挑んでいたという。今シーズンはNHK杯、ワルシャワ杯で自己ベストを更新するなど手応えを感じていたこともあり、「それ以上のものを(全日本で)っていう気負いもあった」と開始前の心境を振り返っていた。
「全日本選手権ってほんとに特別な空気感があるので…たぶんすごい緊張してたのかな」と、村元さんは会場の雰囲気を語る。特に通常の全日本選手権とは違って4年に1度のオリンピック出場権がかかっているだけに、会場全体に強い緊張感が走っていた。
そんな高いプレッシャーの中、全日本のリンクに“魔物”が現れたのだろうか。演技前半のパーシャルステップで、2人のスケート靴の刃が引っ掛かり転倒するというミスがあった。普段の練習でもしないミスだっただけに「悔しすぎて、キスアンドクライで長光コーチの言葉が耳に入ってこなかった(笑)」(高橋さん)、「やっちまったって感じ…」(村元さん)と、終始苦い表情を隠しきれない2人。
ミスの原因は、互いの距離感を読み違えたことにあるという。日頃から練習でもカーブの動きをより正確にする調整を行ってきた、不安要素の高い箇所であったことから、本番では慎重になりすぎた結果だった。
その後のリフトでは最高評価のレベル4を獲得するなどいつもの調子を取り戻したかのようにも見えた2人だったが、やはりこのミスが点数に響き、現在1位の小松原組とは4.81点差でフリーを迎えることとなった。「4点差は結構…」と少し弱気になったように見えた高橋さんだったが、村元さんがすかさず「大丈夫」と力強く励まし、頷き合っていた。
「点差は考えず、自分たちの演技をすることだけに集中したら絶対結果はついてくると思うので。フリーではもう何も恐れずに」と気持ちを切り替えた村元さんに、「失うものも無いなって。攻めた気持ちで思いっきり、やるべきことをやるしかないって感じです」と、高橋さんも続ける。手痛いミスではあったものの、かえってどこか肩の力が良い意味で抜けたような、いつも通りの落ち着きを取り戻せたのかもしれない。
25日のフリーで演じるのは「ラ・バヤデール」。昨シーズンから引き続き練習と実戦を重ねてきた、自信のあるプログラムだ。長光コーチや濱田コーチらかつての師たちの見守る中で、北京への切符をかけた逆転劇は叶うのか。
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