「フィギュアスケート・全日本選手権」(22日・大阪府門真市東和薬品ラクタブドーム)
男子ショートプログラム(SP)が行われ、5年ぶりの全日本舞台に挑んだ関西大学KFSCの高橋大輔さん(32=08年文卒)は88.52点で2位発進し、現役復帰の当面の目標だった全日本選手権男子フリー、最終グループでの滑走を決めた。高橋さんは男子SP後の囲み会見で「できれば長くやっていきたい。もし世界に行ってもし戦うとしたら、より一層心地いいのかなと思う」などと、現役続行をにおわせる発言を行った。宇野昌磨さん(21)が102.06点で首位。中村優さん(なかむら・しゅう、22=政策創造4)は77.11点の5位で、24日の男子フリーに臨む。本田太一さん(20=経済2)は55.56点の25位で、フリーには進めなかった。高橋大輔さんとの一問一答は次の通り。
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-演技を振り返っていかがですか
「ジャンプのほうでアクセルも着地でつまってしまいましたし、コンビネーションなんかもルッツなんかも両方とも流れが悪かったなっていうところで、うーんというところはあるんですけど、まああの、スピン、ステップ、ステップは少し最後の2個目のクラスターなんか、行き切れてしまったっていうところはあるんですけど、スピン、ステップ、プログラム全体として、感情移入だったりとか、そういうところでは今シーズン一番ジャンプ抜きにしていい出来だったかなと思います」
-目指していた舞台で自己ベストが出た
「そうですね、とりあえず最終グループで滑りたかったんで…フリー。(島田)高志郎くんが80点でしたっけ…?出したので車の中でネットで見ながら、やばいな~と思いながら向かってたんですけど、それを超えることもできて、88点ということで、まあまあの、いい点数を超えたなと思いますし、なんとか、その…6位以内までをキープしたと思います」
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-会場の雰囲気はどう感じましたか
「そうですね…久しぶりにこういったすごく観客席の近い、大勢の方の前で、試合をするっていうことをやってみて、今まで、こういった雰囲気の中で試合をしてきたんだなっていうのを改めて感じつつ…本当にこれだけたくさんの方に声援していただくってことがうれしいことなんだなっていうのをかみしめつつ、すごく、滑りやすい雰囲気の中で、お客さんのこの声援があって、滑らせてくれたなっていう感謝の気持ちでいっぱいです」
-最終グループの目標は達成したと思います。改めて意気込みを
「そうですね…それ以外考えてなかったので、うーん…でもまあ思いっきり、今シーズンこの先、どうしていくかわかんないですけど、まあここを目標に、今シーズン復帰して頑張って来たので、もうあしたは頑張らずに、思いっきりできる全力をぶつけた演技っていうのをできればいいなって思っています」
-滑っている時の気持ち、滑り終わった時の気持ちは
「滑る前の気持ちは、会場入りしてからはすごく落ち着いてたかなと思うんですけど、やっぱりきょう時間が近づく…1日の中で時間が近づくにつれて、どんどん緊張していっているなって自分がいて、どうしようかなって思ったんですけど、6分間練習終わって滑り出した時に、すごく落ち着けて、6分間滑り終わることができて、それ以降はすごく落ち着いてできたのかなって思います。スタートしてから演技の間は丁寧に、テクニカルやるってことと、今シーズンなかなか緊張で、演技自体、きょう思いっきりやっていきたいなって部分もあったので、冷静な部分と感情を出すってところが両方うまくできているなって感じつつ滑れました。終わった後はとりあえず終わったっていうので大きなミスなく終わることができて、よかったなっていう安心感だけでしたね。後は応援してくれてありがとうっていう気持ちでしたね」
-一度現役を退いたことで、自分の中で全日本がどのように変わっていって、きょう滑ってみて実際どうでしたか
「う~ん…どうですかね。今、ショートしかやってないですけど、やっぱりこの試合っていいなっていうのを改めて。今シーズン復帰してから感じてはいましたけど、この全日本選手権を目標に戦って来た仲間とともに、この場でこう、力を出し尽くした試合をするっていうのが、本当に自分にとってこう、何ていうんですかね…場所が居心地がいいというか、できれば長くやっていきたいなっていう風にまた思うような、感じもありましたし、う~ん。やっぱり、一番しっくりくるかなっていうのはこの全日本、公式練習、会場入りしてからもそうですし、今試合を終えても、この場所にとどまっていたいなっていう気持ちは強くなってはきてますかね」
-宇野選手が鬼気迫るオーラで、高橋選手は柔らかいオーラを出していた
「4年前までは本当に、そういった雰囲気を出したこともあるかもしれないですし、世界の中で戦っていて頂点を目指して、いる最中…?ってところと結果…結果を求められないっていうか、正直勝たなくてもいい、っていうところもありますし、自分のためだけに、やっているっていうところでそういった違いがあるのかなと。僕自身はもう長くは、何十年ってできるわけでもないですし、今年で終わるのか来年もやるのか、あと何年やるのかはわからないですけど、本当に数少ない…時間も少ないので、精一杯、この試合っていうものを良くても悪くても、しんどくても楽しみたいって気持ちは人一倍強く持って、この試合…現役ってやっているので、そういったこういう雰囲気になるのかなって思います」
-点数的には自分の目指していたものを出せた?
「点数的にはあまり気にしていないというか…それよりも自分の出来っていうか、4回転もショートで入れてないですし、最終グループ…ジュニアの子だったり 自分の演技をどうやるかっていうことを考えていました」
-ここだけは試合で見せたいなというところは?フリーは4回転?
「一応、4回転公式練習で入って来たので、気持ちではあるんですけど、本番まで疲れがあったりとか、調子だったりとか、その…チャレンジできるだけの精神力を持っているかという…ビビってしまう自分がいるんじゃないかというところも踏まえて、ギリギリまで4回転やるやらないは考えて、今のところ気持ちとしてはやりたい気持ちではありますけど。自分のメンタルと相談しながらっていう感じです」
-ここまで来たら、勝つ気はありますか
「いや、勝つ気というか、うーん…勝てたら勝てたでいいなっていう。やっぱり自分の100%の演技をしなければ、表彰台ってところもまず見えないですし、厳しいところをいまやっているので、できて当たり前じゃなくてやることが精一杯なので、なかなかそううまくはいかないっていうのもわかっているので、表彰台っていうところよりも、大きなミスなく終えるってことしかないかなって思っているので、負けても負けてで清々しいでしょうし、勝ったら勝ったでうれしいでしょうし、どっちに転んだとしても、すごくスッキリ終えてるんだろうなということだけはハッキリしています」
-全日本の良さはどういうところ?
「この後輩たちと公式練習をしたりとか、緊張感の中で過ごしたりとか、そういったところが近畿ブロック、西日本、全日本と高くなっている。高い中での戦いっていうのが心地いいなと思って、もし世界に行ってもし戦うとしたら、より一層心地いいのかなと思いますし。でもやっぱり、世界いろんな試合行ってましたけど、この全日本の独特の緊張感っていうのは、他の試合とはまた違う緊張感なので、そういった意味ではこの全日本っていうところが特別より一層、心地いいな…と思うんです。やっぱり日本一を決める試合ですので、またそこに出られてるなって実感することですごく心地よかったなと思います」
-大歓声を聞いて思うところは
「そうですね、まあ…応援してくれてるんだなってのは思いましたけど、やっぱり、もう少しカッコよく決めたい部分はあったので、フリーで、もしできるんだったら頑張って決めたい」
-パトリック・チャンがこれぞフィギュアスケート、というものを見せたいんだということを言ってたんですけれど、高橋さんは現役復帰にあたってそのような思いってあったんでしょうか?
「うーん…逆にいままで現役してた時よりも、そういったものが一切なくて、何を見せたいとか、どういうものを伝えたいとか、本当にないぶん、いま自分のできる姿を見てもらえたらうれしいっていうところがあるので…。スケートって時代によってどんどん変わっていきますし、フィギュアスケートっていう概念自体も時代とともに変わっていくと思うので、今この時代にそぐうスケートに近づけるのかっていうところで、今シーズンは頑張っているところがあったので。その中で、やっぱり高橋大輔っていいなって、こう…今までスケート応援してくれている人もそうですし、今回たまたま見たっていう方にも、そういった風に見てもらえたら、また改めて自信につながると思いますし、ひとつの自信にもつながるというか…。高橋大輔ってレジェンドとかって言われてたんで(笑)。レジェンドって言われるだけあるなっていう感想をもらえたらうれしいなって思います」