関西大学は11日、大阪市の梅田キャンパスで会見し、プロフィギュアスケーターの織田信成さん(30=15年文院修了)が関西大学体育会アイススケート部の監督に就任したと発表した。前監督の長光歌子さん(66)からバトンを受け、4月1日から同部を率いる。任期は2年間で、原則3期6年まで更新できる契約。濱田美栄コーチ(57)との体制で学生の指導にあたる。

晴れの門出なのに、織田新監督の目はなぜか赤く腫れていた。前夜に浅田真央さん(26)が引退をブログで発表。同日朝のテレビ番組で、約30分間泣き続けた。番組出演後に臨んだ監督就任会見。「楽しい、笑顔の絶えない、でも強い。そんなアイススケート部にしていきたい」と抱負を述べた。

昨年末、芝井敬司学長(61)から監督就任を打診された。「織田くんは周りを明るくし、笑顔にさせるたぐいまれな素質がある。笑いと喜びを振りまいて欲しい」。一度は固辞したが、母校での後輩育成を決意した。【写真・涙の監督就任会見となった織田信成さん】

部が拠点とする高槻キャンパスの関西大学たかつきアイスアリーナに週5日、足を運ぶつもりだ。タレント活動や解説の仕事を、週2日に集約させる。大学関係者によると、部の遠征費などの手当は支給されるが、監督としては無給。「家族もいるのでほかの仕事も頑張って行きたいと思っていますが、監督の仕事もしっかり結果を残したい」と、さりげなく男気を見せる。

平昌五輪を目指す同部の宮原知子さん(19=文2)は「織田さんの新監督任命により、より明るく、笑顔の絶えない部になることを期待しております」とコメントを寄せた。関大高等部1年の本田真凜さん(15)が所属する中高スケート部にも目を光らせる織田監督。目指すのはゆる〜い監督だという。

「(学生や中高の生徒達とは)毎日顔を合わせて仲良くやっている。和やかな雰囲気で、やっぱり世界に羽ばたく強い関西大学なんだって胸張って言えるようなスケート部にしたいと思っています。不安は…この監督大丈夫なんか?と思われることくらいですかね」。名門スケート部を率いる重責を、笑顔で乗り切る。

22社50人以上が殺到した報道陣の質問は、浅田真央さんの引退について集中した。「すみません、ハンカチもらっていいですか」。梅田キャンパスでも20分間泣いた。「引退するのは苦しかったんじゃないかなあと思う。彼女が試合で頑張っている姿が見られないというのがすごくさみしい」。浅田さんから送られた〝いつも応援してくれるの伝わってきたよ。ありがとう〟というLINEが、織田さんの涙腺を決壊させた。

浅田さんとは、カフェやスイーツの話題で盛り上がるという。とっておきのパンケーキや関大プリンで、高槻キャンパス来学を誘う。「経験だったりアドバイスだったり、真央ちゃんならではの知恵を拝借させていただけるなら、そういう機会を取っていただきたい。スケート部のみんながウワァ〜ってなりそうですけど。誘ってみます」とラブコール。涙で始まった監督生活。部の快挙やキスアンドクライで、うれし涙を流す時がきっと来る。

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