高知市の暴力団幹部に乾燥大麻約600グラムを126万円で譲り渡したとして、大麻取締法違反(営利目的譲渡)の罪に問われた関西大学の元非常勤講師マイヤーズ・フィリップ・キャリー被告(53)の判決公判が12日、高知地裁であった。

渡邉容子裁判官は「被告人が譲り渡した大麻は600グラムと多量で、社会に害悪をもたらすもの。6回にわたって譲渡するなど常習的で悪質。酌量の余地はない」として懲役1年10カ月、罰金30万円(求刑懲役3年6カ月)の実刑判決を言い渡した。【写真・公判があった高知地裁】

収監される直前、被告は法廷の柵越しに、傍聴席にいた妻と泣きながら抱き合った。暴力団幹部と大麻の密売人を仲介し、預かった乾燥大麻を受け渡しただけで利益は得ていないと主張してきたが、判決では「密売人に利益をもたらす動機があると考えられる。刑の執行を猶予する理由とは言えない」と認められなかった。

判決によると、フィリップ被告は昨年6月28日、大阪市中央区のマンションで暴力団幹部に乾燥大麻を譲渡した。授業のため三重県志摩市の自宅から来阪する際、セカンドハウス兼密売拠点からは大麻約112グラムと、大麻成分が抽出された電子たばこが見つかった。

元暴力団組員で、覚せい剤取締法違反などで約4年間服役していた異色過ぎる経歴を持つ。なぜ関大がそんな人を講師として採用したのかは謎だが、2008年(平成20)から法学部などで英語の授業を受け持ち、関大生にも人気があった。

授業を受けていた関大生は「気さくな先生で、就職活動で英語の授業を休んでも考慮してくれた。先生のおかげで卒業できた関大生は多いはず」と話す。昨年7月の春学期試験直前に逮捕され、依願退職。突然、学生の前から姿を消していた。
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