カスタマーハラスメント(カスハラ=顧客等から就業者に対する著しい迷惑行為)の研究で知られる関西大学社会学部の池内裕美教授が監修したカスハラ対策のゲーム「九条家(くじょうけ)からの挑戦状」が完成し、関大発ベンチャーの「PandA Playworks(パンダ・プレイワークス)」社から、企業研修向けの教材として販売する。
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池内教授は31日、関西大学千里山キャンパスでの完成発表会見で「今、カスハラというものは非常に大きな社会問題になっていることを、一人一人が認識する。消費者も従業員側もそれぞれ立場があって、それぞれが相手を尊重できるような消費社会を築くことができたら望ましいかなと思っています。消費者だけではなくて従業員側もそうなんですけれども、互いの立場に立って、相手の目線に立って思いやりをもって接していきましょうよ…っていったことを、ゲームを通してご理解いただけたらと考えている。『みんなで少しずつ変わっていこう』という思いが込められていると思ってください」と制作の経緯を語った。

法改正で、企業に対してカスハラ対策が義務づけられた。東京都で防止条例が施行されるなど、カスハラに対する法整備が進んでいる。2022年に、大手流通企業15社へ聞き取り調査を行った池内教授は「現場では、従業員が知識を持たないまま対応することが多く、それがさらなる苦情を招く悪循環が起きている。特にパートやアルバイトなどの非正規社員は研修を受ける機会が少なく、教育支援の時間確保がむずかしい」と指摘した。
従業員保護の観点から、クレーム対応の知識を習得する時間と機会をつくることが課題だとして、ゲームベースのeラーニングシステム構築を思いついたという。「とにかく楽しみながら手軽に学べる仕組みが、これからの顧客対応スキル向上に向けたひとつの大きな鍵になるんじゃないかと考えた」と説明。ゲームを教材として使用する利点として①若い世代に身近なコンテンツである②休憩時間や通勤時間などの隙間時間を利用できる③プレイヤー自身が主人公として感情移入しながら学べる…の3点を挙げた。
「九条家からの挑戦状」は、アパレルショップを舞台に主人公の「津頼琴音(つらい・ことね)」が実店舗、電話で「九条有子(ゆうこ)」「九条有造(ゆうぞう)」のクレーマーに対応するストーリー。場面ごとに「最も適切と思われる対応方法」を選びながら接客を進める「CLEAR」を目指すゲーム。「BADEND」になった場合、企業の抱える問題や池内教授の知見にもとづく「対応の極意」が表示され、望ましい対応方法がしっかり学べる内容だ。
教員による研究成果を、社会で活用するための事業化を支援する大学発ベンチャー創出プログラム「関西大学GAPプログラム」を活用し、池内教授は令和7年7月7日にカスハラ対策を中心とした人材育成・教育支援授業を手がけるパンダ・プレイワークス社を設立。チェアマンに就任した池内教授は無類のパンダ好きとしても知られ、笹の葉が揺れる七夕の日を出発の日に選んだ。
今後は飲食、医療、行政機関などを舞台にしたゲーム内容に拡充する他、将来的には個人向けのリリースも考えているという。
池内教授は「今後法制化が進められることになっても、なかなか消費者の方をすぐに変えるっていうのは難しい。だけどこのまま放置するのはよろしくない。まず企業側が変わろうということ。お客さまと店員、従業員側のやりとりで、ちょっとした言い方の違い、態度を変えるだけで消費者の態度って言うのも大きく軟化されることもある。まずは店員側、カスハラ対策、対応といったものを習得していただいて、安心して冷静に対応すると、基礎的なことを知っているとそれが可能になる。そういう空気感っていうのはお客さまにも伝わるので、少しずつお客さまが変わっていただく。そういったことを最終的に求めて作った」と意義を強調した。【佐野日向子】
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