関大前のラーメン店・武双家(むそうや)の店主、安子正人さん(36)が、10日の営業を最後に同店から独立する。7月にも、兵庫県尼崎市のJR立花駅近くに新しいラーメン店「猿でもわかるわ」を開店。16軒のラーメン店がひしめく学生街で一番人気を誇り、気さくな人柄で学生との交流も多い“関大生3万人のアニキ”が、新たな一歩を踏み出す。
【動画】900人ビックリ!関西大学新入生歓迎の集いに萩原利久さんがサプライズ登場!
武双家は、東京・中野の家系ラーメン店「武蔵家」の系列。2011年1月27日にオープンした。16歳で料理人になり、もとは海鮮系の料理ひと筋だったという安子さんは2020年9月に、武双家でラーメンの世界に飛び込んだ。
「僕の料理やってる後輩がアメリカでラーメンの店で働いているという話を聞いて、話したら『兄貴、ラーメンやりましょう』と背中を押してくれて『ほんならラーメンやろうか』と思って、ラーメン屋になったのがきっかけ。なんで家系かっていう話なんですけど、当時YouTubeとか見漁ってて、吉村家さんのYouTube出てきて『うわっこのラーメン面白そうや』って検索したらここ(武双家)が出てきて、ここで働かせてもらおうと思って、飛び込みで」と明かした。

独立するために入ったといい「絶対、自分でいつかは旗上げようというのはあった。料理で悩んだのが、コロナ入った時期だった。いろんな居酒屋がバタバタって閉めたときに、自分はこのまま居酒屋でやってええものかと考えた時に、立ち飲み屋と定食屋とラーメン屋さんの3択で絞った時に、後輩が背中を押してくれた」と振り返った。
2025年1月27日、武双家の14周年企画として京都に総本店があるラーメン店「無鉄砲」をリスペクトした限定ラーメン「武鉄砲」を販売。店には長蛇の列ができた。「どうやったらお客さん喜ぶかなってひたすらひたすら考えるんですけど、今年でやめるというのが決まっていたので、最後自分の好きなラーメン屋さんのオマージュをしようというので“武鉄砲”にしようと思ってやったんですけど、どないかして許可もらわれへんかなって思って」と、無鉄砲の店舗に出向き店長を通じて社長に“コラボ”をお願いしたという。
「社長さんから直々に電話いただいて『各店長から話は聞いています。当日、僕らも行かせていただくんで名前も使っていいですし、応援もしています』と。当日、食べに来てくれた。僕は勝手にやりたくて、名前も使いたくて、みんなも食べに来てくれた。あれが本当に一番、記憶に残っている」と述懐した。
安子さんは「その日が本当、なんか自分の力をぶつけられた一日でもあったし、自信はもともとあったんですけど、確信に変わった一日っていうのがその一日だったので、独立への思い切りもついたのかなと思います」と、ラーメンへの熱い思いを吐露した。
触れ合った関大生との別れはさびしくない?と聞いてみると「全然ないです」と笑う。「むしろこれからと思っている。武双家を通じて出会った関大生もいっぱいいますし、その子らが社会人になっても、僕の新しい店の方でつながりを持てたらと思う。僕がここを抜けたからといって、関係が途切れるわけでもない。関大生の子が武双家とはまた別に、一軒行きつけの店ができるという感覚でやってもらえれば。ここで出会ったものはすべて財産」と、親交は新しい店にも引き継ぐ。

「猿でもわかるわ」は、豚骨ラーメン店。「ごはんがすすむ町ラーメン」がコンセプトといい、名物が潮豚骨UMI、裏名物が醤油豚骨YAMAの二枚看板だという。「家系っていうものにとらわれず、また新しい一杯をつくろうと思っています。僕の人生において関わってきた人たちが来やすい場所が立花だったというのがあったんで、ここに決めました」と強調した。
安子さんがいなくなることで、武双家の味は変わるのか?「いや、全然ありますよ。任された人の好きな味で、たぶんやっていくと思うんで。それがある種、魅力でもある。だから、それもそれで楽しんでもらえればいいかなと思います。僕は僕のおいしいでやってきた。それが、次の方がおいしいと思うものを出してもらえるような店になればいいと思っています」と次世代へバトンを渡すつもりだ。
ランチ1000円超がめずらしくなくなった関大前で、ラーメン並+ごはんおかわり無料で750円(税込)は清々しくもある。スタッフの一人は「750円でおなかいっぱいになれる場所。ごはんおかわり無料は、続けていきたい」と“魂”継承を誓う。
武双家のラーメンとごはんで、おなかいっぱいになってきた関大生を多く見てきたのだろう。安子さんは「これからもたくさん遊んで、たくさん勉強して、たくさん働いてください。僕も、お腹減ったらみんな満腹にできるように頑張ります。頑張って、みんなのおなか満たせるように頑張ります」とメッセージを送る。
満腹、おなかを満たせるという言葉に、関大生への愛情を感じた。これが武双家の人気の秘密…みんなをとりこにする“隠し味”なのだろう。【小野桃子】
【関連記事】
関大生協 米価格高騰でも「ご飯の値上げは行いません」宣言…年間1000万円超赤字拡大も
ビジネスデータサイエンス学部シンポジウム 司会の女子アナ「BANされないか心配」
【動画】関西大学の卒業式が激変!?艶やか卒業袴の関大生がフォトスポットに集結