関西大学商学部横山恵子ゼミの学生が、産地廃棄野菜問題と廃棄衣料問題の解消を目指す「魔女プロジェクト」を展開している。大阪の企業との産学連携で、SDGs商品を開発。商品開発と事業継続を目的としたクラウドファンディングにも挑戦している。
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15人のゼミ生は、廃棄野菜、衣料に魔法をかけるプロジェクトとして「食の魔女」と「衣の魔女」の2チームに分かれた。「食の魔女」チームは64万円、「衣の魔女」は50万円を目標金額に設定しており、10月14日現在で目標金額まであと一歩のところの約58万円、約41万円が集まっている。
「食の魔女」チームは、賞味期限の過ぎた非常食の廃棄問題に着目。大阪府の企業とともに開発した缶詰スープ「ちょっとリッチな海老芋ポタージュ」が完成した。高木春香さん(商3)は「廃棄野菜の現状とかも、商品を通じて消費者に知ってもらいたい。普段の生活から、食べられるような非常食ができたら廃棄問題は解決できるのでは」と、ゼミ生の思いを代弁する。
大阪府富田林市の特産品・海老芋をふんだんに使ったポタージュは、クリーミーで栄養満点。どんな時でも常温で、すぐ食べられる一品に仕上がった。高木さんは「海老芋自体がトロッとした食感の濃厚クリーム。けっこうお腹いっぱいになる」と味に自信を見せる。廃棄されるはずだった海老芋や野菜を原材料にすることで、食品ロスの削減に結びつけた。
「衣の魔女」チームは、制服の生地として使用するはずだった繊維専門商社の未活用生地に目をつけた。制服用のしっかりした生地が、バネ口ポーチやトートバッグのブランド「WITCHILL(ウイッチル)」の商品に変身。竹内乃亜さん(商3)は「もともと制服生地なので、生地が丈夫で高級感がある。未活用生地なので同じぶん同じ生地があるわけではないが、手作りで作ってくださるということもあって、世界でひとつみたいなところをポイントにしたい」と話す。
海老芋ポタージュは、パッケージデザインを東大阪市の社会福祉法人の障がい者が担った。トートバッグなどの製作は、大阪市の就労継続支援B型事業所に依頼。横山ゼミが平均より高い工賃を支払うことで、障がい者の工賃向上につなげている。
ゼミ長の村松晃太郎さん(商3)は「商品を作る過程とか、作る人も買ってくれた人も、社会的にもいい影響が詰まっているのかと思う。商品が出来上がるまでのストーリーとか、どういう人が関わっているのか注目していただけたら、良い商品というのが伝わるかと思います」と呼びかけた。
ソーシャル・アントレプレナーシップ(社会問題をビジネスで解決し、収益も確保する起業)を研究する横山恵子教授は「ソーシャル・アントレプレナーシップを目指すゼミにとって、一番の学びや勉強になるのではないかと。実際に動いてみることで学ぶことはたくさんある。学生のやる気とか、熱意がある関大生が増えているというのを実感しながらやってます」と、教え子たちの奮闘を見守る。
野菜や衣料の廃棄問題や、低すぎるといわれる福祉事業所の工賃問題を解消しようという横山ゼミの取り組み。関大生たちの魔法がかかるかどうかは、クラウドファンディングの支援にかかっている。
【食の魔女プロジェクトのクラウドファンディング】https://camp-fire.jp/projects/view/465396
【衣の魔女プロジェクトのクラウドファンディング】https://camp-fire.jp/projects/view/475071
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