関西大学政策創造学部教授で、著書「戦争とデータ 死者はいかに数値となったか」(中公選書)で2023年度の第23回大佛次郎(おさらぎじろう)論壇賞を受賞した国際政治学者の五十嵐元道(もとみち)さんが4月29日、致死性不整脈のため死去した。41歳だった。
告別式は5日に家族葬で営まれた。ゼミ生などには7日、大学から訃報が伝えられ、今後の学生への対応について後日、説明があるとの連絡を受けたという。関西大学によると、大学や学部として五十嵐さんを追悼する催しを開くかどうかは現時点で未定。遺族が「しのぶ会」を予定している。
関係者によると、五十嵐さんは4月7日に、2025年度初となるゼミの授業を行った。その後「アキレス腱を切り、4月いっぱい休講」と学生に連絡。5月12日に再開予定だった。
ゼミ生の一人は「4月14日に『入院は明日から9日間。その後1週間絶対安静』との連絡があった」とした。五十嵐さんは亡くなる前日の4月28日、学生に向け、ゼミでのグループディスカッション練習会や、6月の合同バーベキューなどの予定を伝えていた。
5月3日に、朝日新聞(大阪本社版)で五十嵐さんの急逝を知ったというゼミ生は「学部の先生の中で、一番学生と近い距離、視点で接してくれた優しい先生だった。面倒見がいい先生で、就活用にも様々なサポートをしてくれ、予定もしてくれた」と人柄を振り返った。アキレス腱を断裂したとの連絡以外は、身体の不調は感じなかったという。
「最初は全く信じられなかった。実感がなく、悪い冗談であってほしいと思っていましたが、大学から連絡があって以降、徐々に先生が亡くなってしまったことを実感し悲しさでいっぱいでした。こんな形で先生と別れることになり、ゼミが終わってしまうことが本当に無念でならない」としのんだ。
五十嵐さんは2016年4月に関西大学政策創造学部に着任。准教授を経て、23年に教授になった。同年7月の「戦争とデータ」で、日本の優れた論考を検証する大佛次郎論壇賞を受けた。
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