関西大学が20日、関大初の女子学生で、1926年(大正15/昭和元)に法学部法律学科の聴講を修了した北村兼子さん(1903-31)に「特別卒業証書」を贈呈すると発表した。27日に北村さんの遺族を千里山キャンパスに招き、高橋智幸学長(57)から贈る。
【写真】関大初の女子学生・北村兼子さん 100年前なのに抜群のファッションセンス!
関大には、卒業生と同等の学びを納めながらも、戦争などで卒業がかなわなかった学生に特別卒業証書を贈る制度があり、北村さんで5人目。当時の学則で女子は聴講生として受け入れ、卒業生としては扱われなかった。
北村さんは、関大在籍中に大阪朝日新聞社(現在の朝日新聞)記者に。文筆家、ジャーナリストとしても活躍した。男女の格差を主張し、女性の地位向上や参政権を訴えながら、27歳で早世した。
学ぶことや研究が、実際の社会とつながっていなければならないという関大の理念「学の実化(じつげ)」を提唱してから100年を迎えた2022年、学内で「約100年前に女子学生として初めて関西大学で学んだ北村さんこそ『学の実化』の実践者である」として、特別卒業証書を贈りたいとの声が出ていた。
関西大学千里山キャンパスが舞台で、関大出身のお笑いコンビ・ジャルジャル福徳秀介さん(41=06年文卒)の同名小説が原作の映画「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」(4月25日公開)にも、ヒロインが北村さんについて語るシーンがある。
同作品のメガホンをとった大九明子監督(56)は24年12月3日に同キャンパスで行った学術講演会で、北村さんについて触れ「100年前に(北村さんが)言っていることと、いま私が言いたいと思っていることは寸分違わない。すべてジェンダーギャップという言葉に集約される」「絶対、この映画を作るにあたって、絶対に盛り込まなくっちゃ…と思わされた」などと、福徳さんの原作にはない北村さんのエピソードを映画に加えた理由を明かした。
3月8日の国際女性デーを前に、関大は「ジャーナリスト、文筆家として積極的な活動で国際的な注目を集めつつ、27歳の若さで亡くなった北村さんの行動力と業績を顕彰するもの。時代の扉をこじ開けた先人の姿を伝えたい」としている。
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