関西大学の秋学期授業が21日、始まった。新型コロナウイルスの影響で春学期はオンライン授業が行われていたが、約8割の科目で対面授業が再開。約2万4千人が通い、キャンパス別で日本一の学生数を誇る千里山キャンパスに学生の姿が戻った。
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コロナ収束が見通せず遠隔授業を継続する大学もある中、7月に関西大学は対面授業の実施を決断した。千里山キャンパスは約2万3千人が通い、キャンパス別で日本一の学生数を誇る。クラスター(感染者集団)発生防止のため、授業や生協、サークル勧誘などで感染拡大防止対策を徹底した。
1限が始まる午前9時前、阪急関大前すぐの西門では、職員が学生にマスクの着用やコロナ接触確認アプリ・COCOAのインストールをさかんに訴えていた。キャンパスでの本格的な授業再開は、今年1月20日以来。多くの1回生にとっては〝初登校〟になり、学舎や教室の位置を確認する姿が多く見られた。
第2学舎C304教室では、商学部の工業簿記の授業が行われた。エアコンを強めにかけ、ドアや窓を開けるなど換気を徹底。3人がけの机の真ん中には使用禁止を示すテープが貼られた。同学部の岡照二教授(39)は、マウスシールドを着用。マスクをして教壇に立つことも考えたが、声がこもることを考え飛沫防止用の器具をつけて100人の学生を前にした。
工業簿記は、履修の約6割が1回生。岡教授は「1年生の人は初めましてですし、ご入学おめでとうございます。秋学期から対面授業を始めていきますので、友だちとか隣の人とうまくコミュニケーションを取って、授業も楽しく聴いてほしい」と呼びかけた。
久々の対面授業で、岡教授もやや緊張したという。始めて大学のリアル授業に触れる学生の反応が気になったが、張り詰めた空気がしだいに解けていくのがわかった。「オンライン授業にはオンライン授業の良さがあるが、教室という場で学生と教員が同じ空間を共有することで、オンラインにはない教室の良さというのが再認識できたと思います」と振り返った。
関西大学によると、250人以上の履修者がいる場合や基礎疾患を持つ教授の担当科目など、オンデマンド形式の授業も約2割ある。芝井敬司学長(64)は「大学の授業が遠隔授業で尽くせるのかというと教育、授業に関しても不十分。リアルな形で授業を受けたり、教室でお互いにディスカッションをしたりする経験と、例えばZoomを使ってすることが同じかと言われれば、同じではない。机を並べることの意味を考えておく必要がある」と、秋学期から対面授業に踏み切った理由を説明した。
芝井学長は14日、関関同立の4学長とともに共同声明を出し、学生の学ぶ機会やキャンパスライフを保障していくことが大学として果たすべき責務だとした。「大学生は授業だけではない。広い意味でのキャンパスライフ…交流や出会い、友だちのひと言で人は成長する。その機会がないことの問題点、むなしさは心しておかないといけない」と強調した。
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