関西大学千里山キャンパス

関西大学大学院社会学研究科の学生だった男性(31)が、アカデミック・ハラスメント(アカハラ=教育・研究現場での立場を利用した嫌がらせ)を受け退学を余儀なくされたとして、社会学部の男性教授と大学に603万円の損害賠償を求めた民事訴訟の判決が25日、大阪地裁であった。

内藤裕之裁判長は、教授の行為の一部をアカハラと認定。元大学院生の訴えを関西大学のハラスメント相談室が約2カ月間放置したとして、教授と大学に92万円の賠償を命じた。

ブームスポーツの取材に、関西大学は「これまでも適切な学生指導に努めてきた。今回の判決を真摯に受け止め内容を精査し、今後の対応を検討したい」とコメント。ハラスメント相談室の調査結果や、控訴するのかどうかについては「答えられない」(広報課)とした。

判決などによると、原告の男性は2013年に大学院社会学研究科に入学後、2014年4月から高知県の四万十川周辺でフィールドワークを始めた。学内の仕事にも関わっていた男性は、労働組合を通じて待遇改善を要求。教授は「指導教授を降りる」「白紙にしたい」といったメールを、男性や現地の研究関係者などに送り、労働組合からの脱退を迫ったとされる。

男性は1年間高知県に滞在予定だったが、5月にフィールドワークを中止。休学した後2017年に退学した。内藤裁判長はフィールドワークの中止を求めた教授の行為をアカハラと認め、指導の範囲内とした教授の主張を退けた。

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