フリーペーパーを手にする吉田亜里沙さんと松井菜摘さん(写真左から)

関西大学総合情報学部3回生の松井菜摘さん(21)と吉田亜里沙さん(21)が、ゼミ活動の一環としてJR大阪環状線を題材にしたフリーペーパーを制作。大阪駅や京橋、天王寺駅ほか同線の6駅で計6000部が配架され、利用客に人気を呼んでいる。

2人は岡田朋之教授のゼミ生で、通学に大阪環状線を利用している。全19駅に足を運び、周辺のお店やディープなスポットをひと駅ごとに紹介。持ち運びに便利なA5サイズカラー32ページに詰め込んだ。

取材交渉や写真撮影、レイアウトまで松井さんと吉田さんがすべて手がけた。秋学期試験や就職活動準備で忙しい中、作り上げた入魂の1冊。同線のイメージ向上に取り組むJR西日本の「大阪環状線改造プロジェクト」が2人の意思に賛同し、オレンジ色のフリーペーパーが駅構内に置かれている。

岡田ゼミでは、毎年学生が映像作品やフリーペーパーを制作。松井さんと吉田さんは、他の学生が映像を撮るのでフリペ制作を決意したという。高槻キャンパスへの通学途中で毎日環状線に乗っているが、途中駅でほとんど降りたことがない未知の路線。各駅それぞれにシンボルフラワーがあることも、編集の過程で知った。

昨年9月ごろから各駅周辺を歩き、非日常を体感できる場所を探し続けた。撮影と誌面デザインを担当した吉田さんは「ふだんでは体験できない何かを、体験できる場所をメインで考えた。環状線の新たな一面を発見できたし、読者に魅力を再発見してほしいと思った」と振り返る。何もない…!?と降りてみた芦原橋駅や今宮駅でも穴場を発見。環状線LOVEが増したという。

松井さんは取材を進めて行くうちに、大正駅周辺の魅力に気づいた。以前は京セラドームでのライブに行くための通過点に過ぎなかったが、沖縄料理や食材を扱う商店街を取材を通じて、今では“推し駅”のひとつだ。「天満でも温かく取材を受け入れてくれた。森ノ宮の鳥カフェでは取材を忘れるほどで…。どの駅にもすごくいいスポットがある。自分の足で訪れて、魅力を知ってもらえたら」。全19駅の文章を担当し、あふれる思いを1行1行に込めた。

31日まで駅で配架される予定で、松井さんは「京橋駅で、目の前でおばあちゃんが取ってくれて本当にうれしかった!」と声を弾ませる。吉田さんも「持ち歩いて周ってもらえたり、立ち寄ってもらえたらうれしい。環状線や大阪のことをもっと好きになってほしい」。2人の情熱が、環状線のように大きな輪になった。

JR大阪環状線の6駅で配架されているフリーペーパー

返事を書く