劇作家の藤井颯太郎さん(22)が主宰する演劇集団・幻灯劇場の第7回公演「DADA」が3月17、18日の2日間、大阪市立芸術創造館で上演される。【写真・稽古場で作品をPRする幻灯劇場のみなさん。前から2列目の左から城野佑弥さん、小野桃子さん】

「DADA」は昨年2月、ロームシアター京都で行われた第2回全国学生演劇祭で初演。約1年間の制作期間を経ての再演となる。地下鉄のコインロッカーに捨てられた兄弟の幽霊を中心に、さまざまな過去から成仏できない幽霊たちが繰り広げるロックミュージカルだ。

幻灯劇場は2013年、藤井さんが兵庫県立宝塚北高校演劇科在学中に旗揚げ。俳優だけでなく、映像作家や写真家など多種多様な人材が集まる。「誰にでも分かる前衛芸術。前衛的な作品を創って、演劇を見たことがない人にも楽しんでもらえるように」と話す藤井さんは2016年「ミルユメコリオ」でせんだい短編戯曲賞を受賞。学生演劇祭の大賞や観客賞を総ナメにするなど、挑戦的な作品で注目されている。

20人いるメンバーのうち、城野佑弥さん(20=経済2)と小野桃子さん(19=経済2)が関大生。城野さんは“学学展万”と呼ばれる関西大学の4大劇団のひとつ、学窓座にも所属している。小野さんは藤井さんの高校時代の後輩。関大入学前から、幻灯劇場の女優として舞台に立つ。

公演に向け、稽古に励む城野さんと小野さん。迫力ある歌とダンス音楽劇は誰でも楽しめる、と2人は口をそろえる。小野さんは「大学に入って時間は有り余るから、その時間をどう使うか。演劇は衣食住に必要ないものだけど、それを必要なものとして感じられるように。世界が広がる一歩として、演劇を見てもらいたい」と同じ関大生に来場を呼びかけた。

関大入学後、なかなか友人ができなかったという城野さん。まったく面識がない小野さんが、経済学部のクラスでたまたま発した“演劇”という言葉を聞き逃さず、ツイッターで人物を特定しDMを送ったことがきっかけで幻灯劇場入りした。「自分に合うものは演劇だった。自分のやりたいことを見つけて欲しい。同世代が、演劇やこのミュージカルで表現していることを見て欲しい」と、4月から関大生になる新入生にもメッセージを送る。

藤井さんは演劇ユニット・少女都市の第2回公演「光の祭典」の共同演出を担当。暴力や阪神・淡路大震災からの復興を題材にした作品は、新聞などで大きく取り上げられた。「遊び」とともに「祈り」を劇団のテーマにも掲げる。「他者の痛みを、わからないなりに埋められることができるか。重たい話をポップに。笑ったのに帰り、悲しくなったと思ってくれたら」。メンバーそれぞれが“魂の叫び”を、異色のロックミュージカルに込める。

【公演情報】幻灯劇場 第7回公演「DADA」

【日時】2018年3月17日(土)15時/19時  18日(日)13時/17時

【会場】大阪市立芸術創造館(大阪市営地下鉄谷町線千林大宮駅、京阪森小路駅から徒歩10分)

【料金】一般1800円/25歳以下1500円(当日500円増)

【チケット予約】https://www.quartet-online.net/ticket/dadadadada

【公式ウェブサイト】https://gentou-gekijou.themedia.jp

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