若手起業家が、関大生と交流するトークイベント・イノベイターズトークが、関西大学千里山キャンパスで始まった。【写真・関大生を前に自身の体験を語る矢島里佳さん】

5月10日に行われた第1回では、日本の伝統産業の技術を活かして職人と共にオリジナルの日用品を作る〝0歳から6歳児向けの育児用品ブランド・aeru(あえる)〟を立ち上げた矢島里佳さん(28、株式会社和える代表取締役)が登壇。「本気は人に伝わる。伝わらないのなら本気じゃない。自分の足で歩いて失敗しても、そこから学び続ければ必ず成功につながる。豊かな感性を磨きつづけることも大切。本気が人を、社会を動かす」と、参加した30人の関大生に熱く語った。

会場となった産学研究施設・イノベーション創生センターで、起業をテーマにした学生向けのトークイベントが開かれるのは初めて。矢島さんは中学高校時代の茶華道部で日本の伝統文化に興味を持ち、高校時代にはテレビ東京の「TVチャンピオン2 なでしこ礼儀作法王選手権」で優勝経験もある。「日本の伝統を、次世代につなぎたい」という想いから慶應義塾大学4年時の2011年、株式会社和えるを創業した。

オーガニックコットンでできた、産着、靴下、フェイスタオルを徳島県の本藍染職人が染めあげた『徳島県から 本藍染の 出産祝いセット』や、愛媛県の砥部焼や石川県の山中漆器などの『こぼしにくい器』などが人気。現在、東京と京都直営店とオンライン直営店を展開している。〝0歳から6歳児向けの育児用品ブランド・aeru〟事業以外にもホテルの一室を、地域の伝統や文化を体験できるお部屋にプロデュースする〝aeru room〟事業や、お客様向けのお誂え(オーダーメイド)商品を作る〝aeru oatsurae〟事業もしている。

たおやかな女性起業家の、ブレない芯の強さが伝わってきた。「なぜ、この仕事を生み出したかということを知って欲しい」。伝統産業の魅力を次世代に伝えるような仕事に就きたいと考え就職活動をしたが、想いを実現できるような会社が見つからず、起業に至った経緯を語る。出逢いや経験といった個々の点が線につながり、面になって立体的になる、今の仕事は学生時代の出逢いの結晶体だと表現した。

矢島さん独特の感性が、参加した関大生や大学職員を引き込んでいった。日本の伝統や先人の智慧と、今を生きる私たちの感性を和える、という社名の由来。創業者は親で会社は子ども、社員はお兄さんお姉さんという考え方。矢島さんの話を聞き逃さず、30人の参加者が熱心にメモを取る。「文化と経済が両輪で成長していくビジネスモデルをつくりたい」。儲かる儲からないだけの起業論ではなく、これからの日本社会が追い求めていくべき豊かさについても提起した。

90分間のトークイベント終了後も、学生や職員と交流した矢島さんは「みんさん熱心に聞いてくださるで、とても話しやすかった。自分に素直に生きる、という言葉を贈らせていただきました」と関大生にメッセージを送った。未来の起業家が、イノベイターズトークから誕生する!?

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