WBC世界ライトフライ級王者となった拳四朗選手(けん・しろう、本名・寺地拳四朗=25、14年人間健康卒)が26日、関西大学千里山キャンパスに凱旋。BIG100ホールでの世界王座獲得報告会で、ベルト奪取を生報告した。関大初のボクシング世界王者は、在学中に主将を務めた体育会ボクシング部の練習を見学し、後輩たちを激励した。

関大生っぽいとでも言えばいいのか。世界王者でありながら自然体な受け答え。芝井敬司学長との約束を果たしての母校訪問にも「シンプルにうれしい」と語る。ボクサー特有のギラギラさを感じさせない。小柄で、優しい雰囲気の拳四朗選手。人懐っこい笑顔に周りの人たちは魅せられる。

入学も卒業もギリギリだった。たくさんのひとに支えられて今がある。学生や職員からの問いかけに、そのつど関大生時代を述懐して、周りに支えられていたと繰り返す。350人を前にしての質問攻め。「試合より緊張する感じ」と苦笑した。

日本全国がテレビを通じて声援を送った、ガニガン・ロペスとの激闘。トランクスの腰部分に、関西大学の文字がひときわ目立っていた。多くの人は、関大がスポンサーと思ったことだろう。「ただ、関大の名前を売りたい。だからお尻のところに関西大学っていう名前を入れさせてもらっているんです。卒業後も関大とは共に闘ってる感じですね」。

拳四朗選手らしいコメントに会場は拍手で沸く。20日の試合後、ドーピング検査のため脱いだトランクスを前後逆に履いてしまった。図らずも母校の名を前面に出してPRする格好になった。【写真・ボクシング部の練習を訪れた拳四朗選手(前列中央、撮影・山本朝子)】

ボクシング一筋の関大生だった。「関大時代のボクシング以外での甘い思い出はなんですか?」と聞かれ、ひと呼吸おいてから「甘い……思い出?」と返した。拳四朗選手を知る人の多い会場だっただけに、一斉に笑みがこぼれて空気が変わった。

「絶対勝ちますと言い切ることを習慣にしています。だから、今回も絶対勝つと言ってました」。目標を口に出すことで自分を励ますことができるのだという。

報告会を終えると、かつて汗と涙を流したリングへ。関関戦を前にしたボクシング部員に「関学戦は、重要な試合やと思う。絶対負けられない。応援しています」とゲキを飛ばした。主将の平出拓士さん(ひらいで・たくし、21=法4)は「拳四朗さんが世界戦12ラウンド、きついと思うんですけど最後まで戦いぬく姿を見て。厳しい状況なんですけど、最後まで戦いぬきます。絶対勝ちます」と、偉大な先輩と同じ言葉を口にした。

指名試合となる今秋の初防衛戦は、元王者の弁護士ボクサーペドロ・ゲバラ(28、メキシコ)との対戦が有力。判定を不服としたロペスが、WBCに再戦を要求したとの話も聞こえてくる。「こんなところで負けてられない。絶対勝ちます」と新たな目標を口にした拳四朗選手。防衛してまた来たい。【山本朝子】

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