関大出身者初のボクシング世界王者が誕生した。WBC(世界ボクシング評議会)世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦は20日、東京・有明コロシアムで行われ、挑戦者の同級4位・拳四朗選手(けん・しろう、本名・寺地拳四朗=25、BMB)が王者のガニガン・ロペス(35=メキシコ)を2-0の判定で下し、王座を奪取した。

拳四朗選手は、2010年に開学した人間健康学部の第1期生。在学中は体育会ボクシング部の主将を務め、2013年の東京国体成年男子ライトフライ級で優勝した。在学中にプロテストに合格。2014年8月のデビュー戦以来、無傷の10戦目(5KO)で世界のベルトを巻いた。【写真・都内で開かれた祝勝会に出席した拳四朗選手(左)と寺地永さん(撮影・山本朝子)】

千里山キャンパスを訪問し、芝居敬司学長らに戴冠を誓った拳四朗選手。トランクスのウエストラインに記された「関西大学」の文字とともに、快挙を成し遂げた。漫画「北斗の拳」の主人公・ケンシロウから名づけられた本名とリングネーム。百裂拳こそ出なかったが、老獪なロペスを激しい右ボディーで封じ込んだ。

勝利が決まった瞬間、満面の笑みでダブルピース。リング上でベルトを受け取ると、父で元東洋太平洋ライトヘビー級王者の寺地永さん(てらじ・ひさし、53)の腰にベルトを巻いた。まずは、最初に寺地さんに渡そうと試合前から決めていた。「パパ、親孝行できたと思いますが、これからも親孝行します」。ジム会長として、一子相伝の拳(こぶし)を教えた息子からの言葉に、寺地さんは「きょうが僕の引退日です」と、世界には手が届かなかった自身の思いに区切りをつけた。

試合後、都内で開かれた祝勝会に参加した拳四朗選手は、ブームスポーツの取材に「素直にうれしい。これから防衛戦もあるので、新たなステップに進むために、もっともっと頑張っていきたい。遊びも大事やけど、何かひとつのことを頑張ってやって欲しいですね」と、関大生にメッセージを送った。大学創立131年目で誕生した卒業生初の世界王者。厚かった歴史の壁を、拳であっさり打ち砕いた。【山本朝子】

返事を書く