関西大学に誕生した女子野球チーム・関大Squeeze(スクイーズ)が、全日本大学女子野球選手権(8月25日開幕・富山県魚津市)での1勝を目指し、練習に励んでいる。スクイーズは昨年5月、関西の大学では11番目となる軟式女子野球チームとして結成。メンバーを寄せ集めて初出場した同選手権では、強豪・至学館大から1点を奪った。主将で投手の神崎愛永さん(かんざき・まなえ、20=人間健康3)は「全国大会で1勝したい」と、女子野球発祥の大会で今度こそ白星をつかむ。

どうしても野球がしたい。直球どまん中の思いだけで、女子野球チームをつくった。中学・高校と軟式野球に打ち込んだ神崎さん。進学した関大には硬式・軟式含め、女子が野球をできる環境はなかった。「他のスポーツサークルも回ったけど、やっぱり野球がいいなぁ…と思って。大学で女子野球ができる環境をつくりたかったけど、1年間は何もしていなかった」。母校の野球部の練習に参加しては、はがゆさを白いボールにぶつけていたという。

同志がいた。神崎さんのモヤモヤを見透かすかのように、大学院人間健康研究科博士課程1回生の八木久仁子さん(48)から「なにして過ごしてますか?」とメールが届いた。獣医でありながら関大で女子野球を研究する八木さんは、元全日本代表投手。2000年に西武ドームで行われた第1回日米女子野球大会で、米国の打者を手玉に取ったレジェンドだ。神崎さんと八木さんは過去、対戦したことがあったという。

運命の出会いに導かれた神崎さんは、監督に就いた八木さんとチームを立ち上げた。道具もベースもない状態からのプレイボール。何より9人集めることが大変だった。神崎さんは「野球ができる女子を見つけることが難しかった。集まってくれたことが奇跡」と振り返る。わずか2カ月の準備期間で、迎えた全国舞台。1-15で完敗したが、スコアボードに光った1点が自信になった。

「本当は野球がやりたかった」「あきらめていた」ー。野球への思いを秘める関大生女子たちによって、スクイーズは大きな輪になりつつある。神崎さんは「夏の大会はものすごく盛り上がるんです。女子にも甲子園のような場所があることを知ってほしいし、熱気を味わってほしい」とボールを握る。スクイズバントから名付けられたチーム名。関大が女子野球をかき回す、という意味も込められている。【写真・関西大学女子野球チームSqueezeの八木久仁子監督(左)と神崎愛永主将=堺キャンパス(撮影・藤野裕友)】

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