関西大学政策創造学部3回生の田中乃絵さん(たなか・のえ=21)が、大阪のFMラジオ局・FM802のラジオ番組「LNEM」(エルネム、月〜土曜深夜27時〜29時)の土曜日を昨年10月から担当している。田中さんは同年7月、2度目の挑戦で同局のDJオーディションに合格。現役関大生DJの声が、深夜のFM802から流れている。

一世一代の賭けだった。2回生でDJオーディション初挑戦。最終審査まで進んだが「華がない」との理由で不合格だった。1年後の再挑戦。100均で売っている花冠を頭にかぶり、面接に臨んだ。「去年華がないって言われたんで」とのセリフに、並み居るFM802のスタッフは大爆笑。捨て身の一発芸と度胸で、トークに花を咲かせた。【写真・LNEM土曜日を担当する田中乃絵さん=FM802提供】

目標を失った時に、田中さんを救ったのが英国のシンガー・ソングライター、エド・シーランの曲だった。NHK杯全国高校放送コンテストの全国大会出場を目指し、放送部の活動に明け暮れていた高校時代。地方予選で大失敗し、夢が断たれた。「大げさじゃなく死のうかな、と思っていた。最期に曲でも聴こうと思って」と述懐する。

This is the start of something beautiful…失意で聴いた「THIS」に救われた。「新しい人生、という意味に取った。エド・シーランもFM802のヘビーローテーションで知ったんです」。新しい目標は、FM802のDJになることだった。マイクの前に立つことを夢見て、関大に入学した。

高校時代の放送部の先輩から、法学部出身のDJ・樋口大喜さん(25=14年法卒)のことを聞いていた。足跡を追うように、KBC(関西大学放送研究会)に入部。「面識もなかったし、全然繋がってもなかったんですけど…」。樋口さんが16年3月まで担当していた新人DJの登竜門に挑む。

DJオーディション合格の報せは、春学期試験の勉強中に聞いた。よっしゃ勉強せんでいい!とガッツポーズ。6単位しか取れなかった。「番組聴いてください!そして政策創造学部の皆さん、レジュメ下さい」。リスナーの数とともに、単位も増やしたい。切実な願いだ。

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